でぇと１

以前リヴァルから教えてもらった穴場の本屋から出た直後、現実世界に戻った俺に声がかけられる。

白のワンピースに緑のカーディガンをはおった、俺のオナペッ、「げふんげふん」

・・・・・・季節そのものをその身に宿した夏の妖精、シャーリー。

どんな時でも、何を着てても、何をしても、



エロい。



ただ単に俺によこしまな気持ちがあるからそう見えるんだ、

という冷静な声に耳を傾けたりなんかしない。

俺という紳士はいつでも正しいからだ。

先ほどまで、本屋で２次元の世界の住人と平面軸上で、子ルルーシュをアンテナに用いて

チャネリングをしていたが、現実の３次元の女は　


や　　は　　り　　　い　　い


しかしどうせならどちらも楽しむのが紳士であろう。

さすがに性別すら見分けることのできない一次元は相手にできないが。

そんなことはともかく目の前にいる彼女はジト目を俺に向けている。

やはり、かわいい。そんな表情もすてきだ。




でもシャーリーと待ち合わせをしていた事を、すっかり忘れていた。

集中力がありすぎるというのも考え物だな。

デートの待ち合わせ時間に早く来すぎたもんだから、本屋で時間を潰していたのだが、

そんな俺に、彼女は少々頬を膨らませていた。


「遅れた理由を簡潔かつ速やかに、
　「え」と「ろ」と「い」と「ほ」と「ん」の文字のみで表して」

「いろえほん」

「あんな肌色ばかりの絵本、子供が見たら卒倒するわよ！」

案外プロレスか何かと勘違いするアホな子もいるかもしれない。

しかもタッグマッチやバトルロイヤルもあり、汗と汗、体と体のぶつかり合いは脚本通りに

展開しているとしても問題なく、脚本が良ければよいほど更に熱くなるだろう。

主に股間中心に。

格闘技、スポーツなどバリエーションは抱負だ、趣味ではないがデブ専の本なら相撲、

決まり技はもちろん性の48手、当然全員素っ裸だ。　

ていうか、シャーリーは俺が本屋に立ち寄ったらＨな本を読むことを前提としているようだ。

実際そうだし、別に今更恥ずかしく思ったりしないし、シャーリーもこのぐらいなら軽く流せる位

には耐性はついてきている。出会ったころの、初々しい彼女が少し懐かしく感じる。


「何かくだらない事考えていない？ルル？」

「反省してたんだ、それも誠心誠意」

「そうよね、文字通り筋肉のドライバーだもんね。海綿体だけど」

「ああ、今夜は君とマッスルドッキングだ」

「死んで」




これ以上天下の往来で痴話げんかをするのもなんなので、


その頭をなでなで。


「誤魔化され、ないわよ」


ぷいと顔をそむけるが、耳が真赤に染まってるので説得力がないぞ。









ともかく、出だしはいい感じだったのだ。出だしはね。